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疑惑の事務所?

疑惑の事務所?

世の中には、ブラック企業というものがあるようです。
無視できない数のようです。

弁護士の場合には、5年前までは、誰もが指摘する「ブラック」な事務所というものは、ごく少数の、道を踏み外した事務所だけでした。
(まったくないわけではありませんでした)

ひとつには、法律事務所の方でも、いままでは余裕があり、新人弁護士に不満をもたせないだけの待遇を用意できていたことがあるじょう。

また、新人弁護士も、国家最難関の試験を突破した強者ですから、たいていのことには負けないだけの、精神力、体力があったため、
気合の足りない一般人なら無理な勤務条件でも、弁護士はへこたれない
というように、いままでも問題点があったが、個々の優秀さにカバーされていて表面化しなかった、という面があるかもしれません。

しかし、最近では、「これはヤバいだろう」というブラック事務所も、増えてきているようです。

ただ、ブラック事務所の定義は意外と難しいものがあります。
「勤務時間が長い」
「深夜労働が常態化している」
「時給に直すとマクドナルドで仕事をしているのと変わらない」
ということをもってブラック事務所と呼ぶなら、大手事務所は、ほとんど全てがブラック事務所となってしまいます。
また、裁判官、検察官もブラックという評価を受けることになってしまう。
なので、法曹の場合、勤務時間が長いというだけでブラックとは即断できません。

法曹界というのは、医師の業界と同じく、
錬磨の文化
とでも呼ぶべきカルチャーをもっています。
すなわち、技術に磨きをかけることを至上とする、技術が高い者を尊敬する、経済的な成功は低く見る、という文化です。
このカルチャーは、能力の高い、そして、耐久力、適応能力の高い者にとっては魅力的ですが、そうではない者からみると
「経済的にむくわれない長時間労働」
とも思えるでしょう。

逆にいえば、労働基準法的な観点からいえば、法曹界というものは、昔から、業界全体が、ブラック業界であったともいえるでしょう(笑