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就活活動マニュアルを作った弁護士の事務所をチェックしよう。

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地名から事務所の名称を付ける

【注意】本記事において事務所の名称についてさまざまな評価をしていますが特定の事務所の名前に否定的な評価をする意図は全くありません。

事務所の住所の一部の地名を、事務所の名称とする方法である。

(例)
東京第一法律事務所
大阪総合合同法律事務所

メリット1 メジャー感を演出できる
事務所名に有名な地名を冠することによって、なんとなくメジャー感を演出できるというメリットは、たしかにある。
一般に、消費者は「自分がその名前を知っているか知らないか」で単純に判断する傾向がある。

したがって、有名な地名を事務所名に取り入れることで、一般消費者に対するアピール度を上げるという効果は、たしかに期待できる。


大阪の人間であれば
「大阪〇〇法律事務所」
という名前を聞くと、少なくとも「大阪」という地名は知っているから
「大阪、という言葉がつくからには、メジャーな法律事務所ではないか?」
という、先入観をもってもらえるということは期待できる。

「まさか?」と思うだろうか。
では、自分が大阪で薬局を探しているとして、町中に
大阪中央薬局

たかはし薬局
が、あったとしたら、少しは大阪中央薬局にメジャー感を感じないだろうか?

メリット2 地名の独占効果

もし、自分が付けようとしている地名が、メジャーな地名ではなく、狭小地域の地名だとしたら、自分がその地名を使用する最初の人間かもしれない。

そういう場合には、地名の独占効果がねらえるかもしれない。

電車の駅名と同じだと、さらに効果が高いであろう。

たとえば、香川県高松市には、三条という地域名がある。琴平電鉄(笑)の駅名でもある。

もし、かりに、自分が三条の名前を最初に使う弁護士であれば、

三条法律事務所

という、シンプルな名前を付けることができるのだ。

弁護士会のルールで、同一弁護士会内では同じ名称の法律事務所名を付けることはできないので、同じ土地で法律事務所を開く弁護士は必ず

三条中央法律事務所

新三条法律事務所

のように、地名にプラスアルファをつけなければならず、「三条」という地名をそのまま使うことは許されない。

そういうわけで、最初に、その地名を使うことを決めた事務所は、「本家」のように地名を使うことができるというメリットはあるのだ。

とくに、新興住宅街など、今まで弁護士がおらず、これから弁護士が増えていくことが予想られる地域ではメリットは大きいであろう。

 

デメリット1 類似した名前の事務所が多い
有名な地名を事務所の名称に使った場合、他の多くの法律事務所も同じような名称をねらっているため、類似する名称が乱立するというデメリットがある。


就職活動マニュアルで以前に紹介したことがあるが、大阪には「淀屋橋」という有名な地名がある。そこには、下記のように「淀屋橋」という名称を冠したそれぞれ異なる法律事務所が存在する
淀屋橋法律事務所
淀屋橋総合法律事務所
淀屋橋・山上合同
新淀屋橋法律事務所
アクア淀屋橋法律事務所


一般の方から見ると「名前だけ見ると、どれも同じような……」と思えてしまうところだ。
ただ、逆にいえば、新興の法律事務所にとっては、老舗のメジャーな法律事務所と混同されることをあえてねらってしまうというのも一つの戦略ではある。

デメリット2 引越すると事務所の名称と実際の住所が矛盾する可能性がある
たとえば、大阪合同法律事務所(仮称)という名前の法律事務所が大阪にあるとする。この事務所が、なんらかの事情で京都に引越をしたとすると、
「京都にある大阪合同法律事務所」
ということになり、事務所の名称と、実際に存在する場所との間に矛盾が発生することとなる。
これは一般人から見ると奇妙な状態である。


そうすると、大阪合同法律事務所(仮称)という名称を付けた瞬間から、その事務所は大阪以外に移転することはできない、という宿命を背負ってしまうことになる。
そういうふうに、自ら将来の可能性を封じてしまうということは、事務所経営を考えるうえでは悪手となる。

また、たとえば、大阪合同法律事務所(仮称)が東京に支店を出した場合には、
大阪合同法律事務所 東京支店
となり、これも少々矛盾した感じがする。

一方で単純な人名である「吉田泰郎法律事務所」は、大阪に存在していても高松に存在していても、東京に存在していても、何ら矛盾は発生しない。

やはり、法律事務所の命名における「人名最強伝説」は、本当なのかもしれない(笑)