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独立・開業

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独立のタイミング

ボスの息子リターン型の独立の場合

ボスの弁護士に息子さんがいて,弁護士になっている,という場合には,特有の問題があります。
とにかく,弁護士の業界というのは,身内主義,血族主義です。
ですから,ボスの息子さんが弁護士をしている場合には,息子さんがその事務所の跡を継ぐのが一般的です。
例外は,息子さんがきわめて優秀で,別の土地で大成功をしている場合くらいのことだと思います。

ですので,ボス一人,アソシエイト一人,という事務所の場合に,ボスの息子さんが事務所に戻ってきたら,それは,
「アソシエイトさん,そろそろ独立してね」
というシグナルなのです。

事務所の規模にもよると思いますが,ボス一人,アソシエイト一人の事務所というのは,事業の規模として,弁護士3人の規模にすることは難しいと思います。したがって,ボスの息子さん+アソシエイトで仲良くやっていく,ということは難しいと思います。

また,ボスの息子さんとしては,いずれ,自分の事務所ということで,自由にやっていきたいとなると,事務所では自分の先輩であるアソシエイトの方というのは,自分にとって,少々煙たい存在なのです。

ですから,アソシエイトの立場としては,独立するほかないのです。
ズルズルと事務所に居続けると,逆に,アソシエイトの方と喧嘩になったりして,自分の立場が悪くなったりする結果となります。

この場合の独立パターンというのは,完全に自分が独立したかった,というパターンとは,少し違うかもしれません。
しかし,一方で,ボスと喧嘩別れしたというケースとも異なります。

ボスとしては,いままで尽くしてくれたアソシエイトに対して,多少は報いたいとい気持ちもあるでしょうから,独立後にも,なにがしかの援助もあるでしょうし,独立するための準備期間は,ある程度はあるでしょう。
したがって,独立してから成功する可能性も高い部類だと思います。

また,ボスの跡を継げるという息子さんの方がラッキーなのかどうかは,長い目で見ればわかりません。

たしかに,一見,ボスの顧問先を引き継ぐことができるので,有利なように見えます。
ただ,アソシエイトのときにはわからないかもしれませんが,
「事務所を継ぐということは,事務所の,しがらみも引き継ぐ」
ということでもあります。
ややこしい古い客,利益にならないボランティア活動,わがままな顧問先,年寄りで素直ではなく高給の従業員,新しい取り組みに反対して本能的に拒否するボス,そういう,
「自分一人だったら,こんなの切るのになあ」
という人とも,付き合っていくことを意味します。
そういうことを考えれば,ボスの跡を継げるというのが,いいことなのかどうか,というと,微妙なところもあります。

ひょっとしたら,数年後には,
「あなたには,しがらみがなくていいね」
と,ボスの息子さんに,うらやましがられているかもしれません。

逆に,ボスに独立をうながされたのを「いい機会だ」と思って,自分の新しい城を建てるのだという,希望に満ちて独立するのであれば,長い目で見れば,人生の良いチャンスだと考えることもできると思います。