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二回試験の体験記…答案構成1

 二回試験の問題文に対して,実際の受験者が,どのように考えて答案構成をしていったか,ということを解説します。

最終準備書面+訴状の起案が必要
普段の修習での「問題研究起案」ては,最終準備書面の起案を要求されることが多かったと思います。

ですので,「民事弁護」といえば「最終準備書面」という固定概念ができているかもしれません。

ところが,この年度の二回試験では,最終準備書面のほかに、訴状の起案が要求されていました。

「民事弁護なら最終準備」という固定概念をもってしまっていると,パニックになったかもしれません。
民事弁護の範囲内では,どんな形式の起案の要求もあり得る,ということを覚悟しておきましょう。

さて,問題文の最初を読んだ瞬間に,訴状の起案も必要だ,ということがわかったので,通常の「問題研究起案」よりかなりの時間が必要とされる,と判断しました。

実際に、問題研究起案で同じような出題形式の問題がB班には出題されていました。
このときの起案は,とにかく制限時間内に書き終えることが難しいものでした。
そういう,過去の経験を踏まえると、答案構成にそれほど多くの時間はかけられないのではないか、と思いました。
また,問題文には,大問のほかに,小問までありました。

 

法律構成の悩み
最終準備書面にしろ、訴状にしろ、今回は依頼者の主張をどう法律構成するか、そして、どこまでを損害として請求していくのか、が問題になると考えられました。

大きな分岐点が,
依頼者と被告との間の契約関係を,
●契約書の形式にしたがって,業務委託契約として法律構成するのか,
●店舗の一部分を貸しているという実態を重視して,賃貸借契約として法律構成するのか,
という点にありました。

問題文には,こういうケースの場合に,店舗の賃貸借契約だと事実認定した裁判例が引用されていましたが,その判例に素直にしたがって,賃貸借契約だと法律構成してよいかどうかも疑問なところもありました。
契約書が賃貸借契約書の体裁を取られていないという点のほかに,実際の業務形態を見ても、被告の店員を従業員として使っていたりするという事実もありましたので,はたして,賃貸借契約といえるかどうかは疑問に思うところもありました。

実際に、この年度に二回試験を受験した人の中には
① 賃貸借契約であるという前提で起案した人、
② 継続的業務委託である,という前提で起案した人
③ 業務委託契約であるが,信義則などを理由として解除を制限する,という法律構成で起案した人、
など,法律構成は,さまざまでした。
いずれの法律構成をとった人でも,二回試験に合格はしていました。
ですから,どの法律構成をとるか,という選択自体は,どれでもよかったのかもしれません。
ようは,自分が選択した法律構成で,論理的に一貫性のある,説得力のある答案を書けるかどうか,という点が重要であったのでしょう。

ただ,問題文にはボス弁とイソ弁の会話が記載されており、その中では、こういう「ケース貸し」が争点となった裁判について、業務委託ではなく賃貸借と判断した判例が記載されていました。
なので、自分は,法律構成は「実質的に賃貸借契約」という構成で行くべきだと判断しました。
そこで,賃貸借契約の締結を認めた上、賃貸借契約に付随する契約上の合意事項について,被告が債務不履行をおこなったので,損害を賠償しろ,という法律構成にしました。
「賃貸借契約に付随する契約上の合意事項」というのは,例えば、被告従業員をきちんと「生花店」三号店で仕事をさせなかったこと、設備の使用などについても協力的な態度を取らなかったことなどです。

 中心となる法律構成を決めれば,あとは,基本的には債務不履行の要件事実に,具体的な事実をあてはめていくことになります。

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